2017年度の全国10エリア需給実績が今月、出そろった。1時間当たりの需要電力量に対する再生可能エネルギー(水力、地熱、バイオマス、太陽光、風力)の比率では最大5割を超えた。最大を記録したのは3月25日の52.4%で、前年度の記録を6.4ポイント上回った。要因は太陽光発電の導入拡大。同日の正午~午後1時の時間帯は、太陽光が需要の4割を賄った。電力各社は揚水動力を活用するなど、メリットオーダー*とは真逆の対応を強いられた。

 17年度の再生可能エネ発電量は前年度比13.7%増の1403億キロワット時で、需要の15.6%を賄った。太陽光は同28.0%増の508億キロワット時で、需要に占める割合は前年度の4.5%から5.6%に上昇した。

 正午前後の太陽光比率は2.6~41.1%と、天候や需要に応じて幅がある。最大の41.1%を記録したのは3月25日正午~午後1時で、水力などを含めた再生可能エネ比率も過半を占めた。

 この時間帯の太陽光発電量は3449万キロワット時と大規模火力40基分に相当。火力発電量は年間最大(1月24日午後6~7時)の3分の1となる4711万キロワット時に抑制されたほか、揚水ポンプアップで1202万キロワット時の余剰電力を消費した。

 太陽光の6割は西日本で発電され、同じ時間帯の太陽光比率は47.3%。特に九州は78.0%と高く、火力発電量は年間最大(1月30日午前7~8時)の4分の1、揚水動力はフル活用だった。

 九州では、太陽光比率が最大5割を超えた日数が94日を数える。一方、最大で1割に満たなかった日数も24日ある。しかも、太陽光は予測通りに発電するとは限らない。予測のずれは年間最大電力の2割を超える場合もあり、系統運用はますます難しくなっている。

 優先給電ルールによって太陽光の出力抑制は回避されているが、経済性は二の次だ。太陽光はFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)で高く買い取られる上、火力は出力抑制によって効率が落ち、発電単価が上昇する。FIT電源を揚水動力源にすれば費用はさらにかさむ。再生可能エネの「主力電源」化に向けて、残された課題は多い。

電気新聞2018年6月6日

メリットオーダー:限界費用の安い電源から優先的に活用すること[出典:『まるわかり電力システム改革キーワード360』(日本電気協会新聞部刊)]