スペシャル福島

 東日本大震災から7年あまり。東京電力福島第一原子力発電所事故の風評被害にさらされた福島県の食材の魅力や品質を再評価する動きが広がっている。様々な苦労を乗り越えて安全で品質の高い食材をつくり続けてきた生産者、そうした食材の魅力にほれ込んで提供するユーザーの地道な取り組みが背景にある。2月に新組織を立ち上げ、風評払拭対策を強化する東京電力ホールディングス(HD)の取り組みも合わせて、福島県産食材の魅力を紹介する。

◇東電HDふくしま流通促進室/生産者と消費者結ぶ仲介役に

「響」では東電HDの働きかけで福島産食材に焦点を当てた限定メニューが4月末まで提供された(写真は新宿サザンタワー店外観)
「響」では東電HDの働きかけで福島産食材に焦点を当てた限定メニューが4月末まで提供された(写真は新宿サザンタワー店外観)

 東京電力ホールディングス(HD)は2月1日付で福島復興本社に風評対策の機能を集約した「ふくしま流通促進室」を設置し、福島県産食材の魅力を知ってもらおうと、様々な取り組みを進めている。首都圏の飲食店や百貨店などでも福島食材を応援する取り組みが広がってきた。
 流通促進室のメンバーは15人。福島と東京に拠点を設け、生産者と消費地を結ぶ仲介役として、様々な試みを展開している。直近では福島県産の日本酒や牛肉、米の魅力を首都圏の消費者に知ってもらうための取り組みに力を注いでいる。
 一つの成果が、サントリーグループのダイナックが展開する飲食店「響」での福島産食材に焦点を当てたコースメニューの実現だ。4月末までの限定メニューだが、福島牛や川俣シャモといったブランド食材を扱った点などが話題を呼び、通常のコースメニューの1.5倍ほどの好調な売れ行きだという。
 4月19日には羽田空港で、日本を出国する海外の観光客らを対象とした福島県産の日本酒の試飲・販売イベントも開かれた。流通促進室は今後も、都内の大手百貨店やスーパーマーケット、飲食店などと連携した取り組みを進めていく考えだ。

電気新聞2018年4月26日