起工式であいさつする広野IGCCパワーの岩崎代表
起工式であいさつする広野IGCCパワーの岩崎代表

 福島復興電源と位置付けられ、高効率の石炭ガス化複合発電(IGCC)を行う広野IGCC発電所の起工式が13日、福島県広野町で行われた。三菱商事パワー、東京電力ホールディングス(HD)など4社が出資する広野IGCCパワー合同会社が事業主体となって、出力54万キロワット、発電効率約48%の純国産技術に基づくプラント1基を建設し、2021年9月に運転を開始する計画だ。

 起工式には、合同会社の出資会社である三菱商事パワー、三菱重工業、三菱電機、東電HD、施工者の三菱日立パワーシステムズ(MHPS)、国や地元自治体の関係者ら約90人が出席。神事では、関係者が地鎮の儀や玉串奉てんなどを行って工事の安全を祈願した。

 起工式では、広野IGCCパワー合同会社の岩崎芳博代表(三菱商事パワー社長)があいさつし、「福島復興を通じた社会的価値、環境にやさしい発電所を運営する環境的価値、電力を安定的に競争力のある形で供給する経済的価値の3つの価値を同時に実現する」と力を込めた。

 また、福島復興電源プロジェクトを立ち上げた東電HDの小早川智明社長は、「雇用の創出や経済圏の回復を通じて福島復興に貢献したい」と述べた。

 広野IGCC発電所の建設地は、東電広野火力発電所構内。もともと石油タンクがあった場所を更地にして、発電設備と貯炭場を設ける。中核機器である石炭ガス化炉はMHPSが今年1月から長崎工場で製造を開始しており、19年2月には現地での組み立てに着工する予定。

 福島復興電源と位置付けられるIGCCは、福島県いわき市の常磐共同火力勿来発電所隣接地でも建設されている。54万キロワット1基の勿来IGCC発電所として、20年9月の運転開始を予定している。同発電所は、4社に常磐共火を加えた5社が出資する勿来IGCCパワー合同会社が建設・運転する。

 両地点のIGCC建設最盛期には、1日当たり最大2千人規模の雇用が創出されると見込まれる。また、環境影響評価着手から運用を含めた数十年間で、1基当たり総額800億円程度の経済波及効果をもたらすと試算されている。

電気新聞2018年4月16日