撮影した映像は運行管理システムで監視する
撮影した映像は運行管理システムで監視する

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、KDDI、テラドローン(東京都渋谷区、徳重徹社長)、セコムは、LTE回線と自律飛行するドローンを複数使って、広域での遠隔警備に世界で初めて成功した。ドローンに搭載されたカメラ映像を運航管理室から遠隔監視することで、不審者・不審火などを発見する。警備業務の迅速化、省力化につなげる。4者は既存の防犯カメラと併用することで、より高度なセキュリティー技術の実現を目指す。

 実証はNEDOの「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)」における「警備業務に対応した運航管理機能の研究開発」の一環として実施している。

 KDDIが構築したドローン専用ネットワーク基盤「スマートドローンプラットフォーム」を利用。指定のルートを回る「巡回ドローン」2機、高所で定点監視する「俯瞰ドローン」2機に、高感度カメラ、スピーカー、赤外線カメラ、LEDライトを搭載し、不審者・不審火発見、注意喚起、夜間警備などを行った。

 KDDIはドローンのLTE通信モジュールと警備業務に対応した運航管理システムを提供。テラドローンは機体の運航計画の作成・管理など、セコムは警備アプリケーションの開発をそれぞれ担当した。

 4者は15日、同実証の公開実験を「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」(神奈川県相模原市)で実施した。当日は不審者を俯瞰ドローンで発見後、警備室から遠隔で巡回ドローンのルートを変更。不審者の元へ警備員とドローンを急行させ、退去を促す広域警備のデモンストレーションを披露した。

 NEDOロボット・AI部の弓取修二部長は、「ドローンの親機が俯瞰して情報を収集し、子機が現場に急行して追跡・誘導・警告できる。このような(警備システムの)ニーズは今後、ますます高まる」と述べた。

電気新聞2018年3月19日