経済産業省・資源エネルギー庁は28日、原子力発電所の運転期間延長について「40+20年」の上限を維持した上で、安全審査による停止期間などを運転期間から除外する方針を示した。同日の有識者会合で、原子力政策の方向性として提示。新増設・リプレースについては、「廃止が決定した炉の次世代炉への建て替え」を対象に具体化を進める。今後、有識者会合での議論を経て、年末のGX実行会議で正式決定する。

 同日の総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)原子力小委員会(委員長=山口彰・原子力安全研究協会理事)で、「今後の原子力政策の方向性と実現に向けたアクションプラン案」が示された。GX実行会議で挙げられた原子力政策に関する4項目である(1)再稼働に向けた関係者の総力結集(2)運転期間の延長など既設炉の最大限の活用(3)次世代革新炉の開発・建設(4)再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化――に、小委で議論されてきたサプライチェーンの維持・強化など2項目を加えた6つの課題について、今後の取り組みを整理している。

 運転期間延長については、新規建設への投資確保や、立地自治体からの不安の声などに配慮し、現時点では一定の上限を設けるとした上で、今後必要に応じて見直すとした。具体的には、運転期間は40年とし、その後の延長可否を電力安定供給や脱炭素への貢献などの観点から政府が認定。延長期間は20年を目安に、東日本大震災後の安全審査や裁判所による仮処分命令などの停止期間を運転期間から除外するとした。

 新増設・リプレースでは当面、廃炉が決まった炉の次世代革新炉への建て替えを対象として具体的な検討を進める。資金調達や投資回収に向けた制度設計、市場価格変動への対応など、事業者がプラント建設を判断できる事業環境整備を進めていく。

 このほか、プルサーマル実施を受け入れた自治体を対象とした新たな交付金制度、政府による地域支援充実を目的とした「地域支援チーム(仮称)」の創設などが盛り込まれた。

 運転期間の在り方についてエネ庁は、「必要に応じて仕組みの見直しを行う」と記載。これに関して委員からは、どのような条件で見直しを行うのかについても明記すべきといった意見が上がった。

電気新聞2022年11月29日