エネ庁、省エネトップランナー制度で

 
 経済産業省・資源エネルギー庁は、エアコンや電気温水器へのDR(デマンドレスポンス)機能搭載を、省エネトップランナー制度の中でメーカーに推奨する仕組みを検討する。一部エアコンには、系統の周波数低下を感知して自動で出力を抑制する機能が搭載されてきた。普及すれば災害後の需給逼迫などの際、機動的な需要削減が期待できる。エコキュートは太陽光の電力が余る昼間に湯を沸き上げる機種などの普及を狙う。ルール形成、技術開発で先行することで、日本の産業競争力強化にもつなげる。

 2日に開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)省エネルギー小委員会(委員長=田辺新一・早稲田大学教授)で合意した。詳細は、省エネ小委下部のエアコンディショナー及び電気温水器判断基準ワーキンググループ(WG)で議論する。初回会合の時期は未定。

 エアコンのDR機能は「自律分散型負荷制御」と呼ばれ、三菱電機製「霧ヶ峰」の高級機種に実装されてきた。周波数が0.8ヘルツ以上低下した場合、エアコンの消費電力を自動で5%低下させ10分間保持する。エアコンをネットに接続する必要があるほか、需要家の事前承諾が条件となる。

 エコキュートについては、太陽光の自家消費を促進する「おひさまエコキュート」などが徐々に広がりを見せており、そうした機能を念頭にトップランナー制度上どう位置付けるか、検討を深める。

 オーストラリアでは、こうした家庭用エアコンや給湯器、EV(電気自動車)充電器などのDR機能搭載を義務化している。WGでは、どこまでの強度で事業者に対応を求めるか、新たな仕組みの是非を含めて議論する。

 このほか、今後の省エネ政策の方向性として、事業者の定期報告内容の任意開示化や、省エネ補助金の抜本強化などがエネ庁から提示され、委員から異論は出なかった。

電気新聞2022年11月4日