円安に歯止めがかからない。21日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台後半まで値下がりした。米長期金利の上昇を背景に日米の金利差が意識され、円売り・ドル買いが加速。燃料価格の高騰局面が長引く中での円安進行はエネルギーコストのさらなる上昇につながり、産業活動や市民生活に打撃を与える。
電気事業連合会の池辺和弘会長は21日の定例会見で、円相場が1ドル=150円の大台に突入したことについて「深刻だ。各社の収支への影響が大きいので、何とか落ち着いてくれないかと思う。(急速な円安に対し)手を打たないといけない」と述べた。ただ、対策として欧米との金利差を縮める案には「日本の経済活動に大きなブレーキがかかるであろう金利上昇はいかがかなと思うので、難しいところ」と話した。
円安進行の影響は都市ガス業界にも及んでいる。業界関係者は「原料調達に関しては当然、強い逆風にさらされている。しかし収支の仕上がりには様々な要因が複合的に絡んでくる」と説明。原料費は為替レートや原油価格によって変動するが「油価が若干落ち着いてきたのは好材料。原料費調整制度もあるので、厳しいながらも、そこまで悲観するような状況にはなっていない」と話す。
西村康稔経済産業相は同日の閣議後会見で「(円安の)マイナス面が大きくなっている。海外への輸出を増やすことで結果として収支が改善し、円安も和らぐ。中堅・中小企業の輸出意欲や国内への投資を促進する大胆な施策を設けていきたい」と語った。
エネルギー価格は上昇の一途をたどる。総務省が同日公表した9月の全国消費者物価指数によると、電気代は前年同月比21.5%増、都市ガス代は同25.5%増と大幅に上昇。寺田稔総務相は同日の閣議後会見で「電気代、都市ガス代などのエネルギーが引き続き高い水準にある」ことが消費者物価全体の押し上げ要因になっていると説明した。
電気新聞2022年10月24日
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