10基輸出へ官民組織設置

 
 韓国で10日、尹錫悦新政権が発足した。就任に先立ち大統領職引き継ぎ委員会は3日に国政ビジョンを発表し「(文在寅前政権による)脱原子力政策の破棄」を明文化。「新ハヌル原子力発電所3、4号機建設再開」「2030年までに10基輸出」などを掲げた。一方で、一院制で解散権のない国会は過半数を「共に民主党」が占めており、葛藤も予想される。

 国政ビジョンでは「エネルギー安全保障とカーボンニュートラルへの手段として原子力を積極活用し、競争力強化、米韓原子力同盟の強化と輸出を通じて原子力最強国へ跳躍する」とした。

 具体的には、文政権で建設中断・白紙化された新ハヌル3、4号機(APWR、各140万キロワット)を即時再開する。また運転許可期間延長審査の制度を拡充することで、既存プラントの稼働中断期間を最小化するとしている。

 原子力、防衛産業、経済協力などの支援パッケージを可能とするために、政府、韓国電力、韓国水力原子力、金融機関、プラントメーカーなどが参画する「原子力輸出戦略推進団(仮称)」を設置する。

 現地では李明博政権で初の原子力プラント輸出を実現した外交通商部(日本の省に相当)の復活も取りざたされており、トップセールス外交を再開するとみられる。

 このほか乾式再処理の米韓共同研究(JFCS)を遂行し、今後の計画について協議する。独自小型モジュール炉(SMR)、第4世代原子炉、核融合、原子力由来水素生産などの研究開発を集中的に推進する。

電気新聞2022年5月11日