遠隔監視の実務算入明確化

 
 経済産業省は17日、ダム水路主任技術者に必要な実務経験年数について、算定対象業務見直しの方向性を示した。スマート保安化を見据え、本店など統括事業場での遠隔監視制御を実務経験年数に算入できるよう明確化する。海外での水力開発工事なども追加する方針だ。合わせて講習を受ければ、必要な実務経験年数を短縮できる制度も設け、将来的な人材不足に対応する。

 産業構造審議会(経産相の諮問機関)電力安全小委員会の電気保安制度ワーキンググループ(WG、座長=若尾真治・早稲田大学教授)で示した。

 電気事業法に基づき、事業用電気工作物に該当する水力発電設備の設置者は、ダム水路主任技術者の選任が義務付けられている。電気主任技術者とは異なり、ダム水路主任技術者の免状取得に試験制度はなく、一定期間の実務経験年数が求められている。

 全ての水力発電設備の工事、維持・運用を監督できる第1種は、土木学科出身の場合、大卒で5年(高さ15メートル以上の発電用ダムの実務経験3年を含む)必要。高専・短大卒は6年(同4年を含む)、高卒は10年(同5年を含む)の実務経験が要り、土木学科以外だとさらに長期間となる。

 現状、ダム水路主任技術者は、第1種、第2種ともに50代が圧倒的に多い。FIT(固定価格買取制度)によって管理が必要な水力発電設備が徐々に増加する中、将来の保安人材確保に向け制度を改める。

 具体的には、実務経験年数に算入できる対象業務を21年度中に明確化するほか、実務経験を補完する仕組みを設ける。例えば、新たに設けるダム水路講習を受ければ、土木学科の大卒者は第1種に必要な実務経験期間を3年(同2年を含む)に短縮できる。また、河川法で規定される「ダム管理主任技術者」に選任されれば、水力発電設備に関する講習受講と一定の実務経験で、ダム水路主任技術者の免状を取得できるようにする。

電気新聞2022年1月18日