フランスのマクロン大統領が国内での原子力発電所建設を再開する方針を示すなど、世界的な脱炭素への流れを受けて原子力開発が盛り上がる可能性が出てきた。世界で1~9月に送電を開始した新規原子炉は、中国の2基、インドとパキスタンの各1基の4基(計370万5千キロワット)で、年間では前年比3基増の8基が見込まれる。1~9月に着工したのは同3基増の7基で、内訳は中国が4基、トルコ、ロシア、インドが各1基となっている。

 世界原子力協会(WNA)によると、2020年の世界の原子力発電電力量は同約4%減の2兆5530億キロワット時で、8年ぶりに減少。地域別では北米が全体の3割強で、西・中欧が3割弱、アジアが2割強、東欧・ロシアが1割と続いた。前年比では北米が微減、西・西欧が大幅減となる一方、アジアと東欧・ロシアは微増した。

トップ10、西・中欧諸国が占める



 原子力の国別発電電力量では、中国がフランスを抜いて2位に上がり、日本はトップ10から12位に陥落。発電シェアのトップ10は、ウクライナ以外の全てを西・中欧諸国が占めた。

 WNAは20年に発電電力量が減少に転じた要因について、新型コロナウイルス感染拡大による電力需要の減少を指摘。加えて、再生可能エネルギーの容量拡大に対し、負荷追従運転などで発電量を調整する機会が増えたことも挙げた。

 20年の総発電電力量に占める原子力のシェアは同0.3ポイント減の10.1%で、電源別で最大の石炭は35.1%だった。20年に稼働可能な原子炉は同1基減の441基で、設備容量は前年とほぼ同様の3億9200万キロワット。このうち、実際に稼働したのは3億6900万キロワットで過去最大だった。

長期停止プラント、日本に集中



 長期停止プラントは、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて12年には大幅に増加したが、その後は再稼働や廃炉によって徐々に減少。21年7月時点では26基だが、このうち9割の24基が日本にある。

 アラブ首長国連邦(UAE)とベラルーシは20年に送電を開始し、11年のイラン以来9年ぶりの原子力新規導入国となった。両国が加わることにより、発電中の原子力保有国は21年9月時点で、33カ国に達した。

 また、20年には中国の2基、UAE、ベラルーシ、ロシアの各1基の5基(計552万1千キロワット)が送電を開始。設備容量は、廃炉によって欧米で減少する一方、中国や中東などで増加したことで、世界全体では横ばいを維持している。

 20年から21年9月までに着工したプラントは計11基あるが、いずれも設計は中国とロシアが担っており、世界市場で両国の存在感が高まっている。海外電力調査会の田中晃研究員によると、欧米はこうした状況に対し、「安全保障上の懸念から、原子力技術におけるリーダーの座を維持・復活するため、小型モジュール炉(SMR)を含めた技術開発へ積極的に取り組んでいる」という。

 一方、原子力の発電電力量が低迷する日本について、田中氏は「長期停止炉をなるべく早く再稼働させ、安定運転を続けることが、世界の原子力発電量の維持に貢献することになる」と指摘している。

電気新聞2021年11月18日