ボンベに入った水素を燃料に離陸したドローン(9月8日、神奈川県茅ケ崎)

 脱炭素の切り札として期待される水素を、褐炭から製造する取り組みが進んでいる。Jパワー(電源開発)はオーストラリアにパイロットプラントを設置し、今年から実証試験を本格化。そこで生産した燃料が初めて日本に上陸した。

 8日には同社茅ヶ崎研究所(神奈川県茅ケ崎市)で、水素燃料電池を搭載したドローンのデモ飛行に利用。18、19日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開かれる「スーパー耐久」のレースでは、トヨタ自動車の水素エンジン車の燃料として提供する。

 褐炭は水分や不純物が多い低品位な石炭で、乾燥すると自然発火の危険性が大きく輸送に適さない。一方、権益を容易に取得できるためコストを抑えられる。オーストラリアから水素として輸送する場合、地政学的リスクも少ない。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の水素サプライチェーン構築に関する実証事業として進めており、Jパワーは最上流を担当する。今年度後半には液化水素の状態で日本に運び込まれる予定だ。今回のデモ飛行ではガスの状態で空輸した水素を使用した。

 笹津浩司取締役・常務執行役員は「当社の石炭ガス化の知見を存分に発揮できる分野だ」と話す。

電気新聞2021年9月9日