NUMO(原子力発電環境整備機構)は、高レベル放射性廃棄物地層処分の処分地選定を体験できるボードゲームを作成した。プレーヤーは、3~4人で班をつくり話し合いながら、条件の異なる架空の市町村から地層処分の受け入れ地点を決める。担当したNUMO広報部教育支援グループの森沙紀氏は「地層処分を自分事として、考えるきっかけにしてほしい」と狙いを語る。
ゲームの名称は「地層処分って何だろう? ジオ・サーチゲーム」。中学生を対象に、エネルギー・原子力や地層処分に関する授業教材として作成した。県議会議員となったプレーヤーは、県内6つの市町村の中で地層処分に適している地点はどこか、各班で話し合う。
順番にサイコロを振り、止まったマスに記載された地層処分に関する基礎知識を学ぶと同時に、ポイントを取得。ポイントを使って各市町村の「調査カード」を引き「山に囲まれている」「小さな島で港から近い」などの情報を収集。カードには活断層や地下水の状況に加え、各地の特産品や「化石が見つかる」「ウミガメが産卵に来る」といった様々な情報が記載されている。
全員で15回サイコロを振り、集めた情報から1カ所の処分地を決定。班ごとに選んだ市町村とその理由を発表する。
6市町村の中には、処分地としては明確に不適な地域がある一方、「完璧に条件が整っている所は1カ所もない」(森氏)。何を重視するか各自が考え、話し合うことが目的となっている。地層処分を受け入れないという判断を下す班が出ることも想定。森氏は「自分たちと異なる判断を尊重するか、反対するかについても考えを深めてほしい」と語る。
ゲームに関する問い合わせはNUMO広報部、電話03(6371)4003まで。NUMOホームページ(https://www.numo.or.jp/eess/materials/boardgame/)からボードやカード、説明書などのデータをダウンロードすることも可能だ。
電気新聞2021年8月16日