政府は9日、「地域脱炭素ロードマップ」を固めた。100カ所以上の地域を2030年度までに脱炭素化させる計画だ。重点対策として、政府や自治体の公共施設には30年度までに、設置可能な建物の半数に自家消費型の太陽光パネルを導入する。40年度までに100%導入を目指す。新築の公共施設や業務ビルはZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)、住宅はZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)にする。

 官邸で9日、国・地方脱炭素実現会議(議長=加藤勝信官房長官)を開き、ロードマップ案について議論した。既存技術を最大限導入し、脱炭素の先行地域を構築して横への展開を図る狙いだ。人口千人規模のエリアを脱炭素先行地域として100カ所以上選ぶ。地域の募集に関する具体的な要件や手続きは21年度末までに決める。

 脱炭素先行地域では、家庭や業務ビルなど民生部門の電力消費で二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする。さらに、運輸部門や熱利用などでも国全体の30年度目標と整合する削減量を地域特性に応じて実現する。

 再生可能エネの導入ポテンシャルを最大限活用する。環境省が提供するシステムを利用し、建築物の屋根や未利用地などの利用可能スペースを洗い出す。地域に利益をもたらして共生している優良再生可能エネを表彰する取り組みも始める。

 新築建物が30年後にカーボンニュートラルの足かせとならないように、基本的にZEBやZEHとする。ただ、地域の気候風土や高層ビルなど状況に応じて合理的に判断するとしている。

 デジタル技術を活用して製品やサービスのCO2排出量を見える化し、国民の生活様式を変える。食品のカロリー表示を参考に、30年度までに見える化の仕組みをつくる。

 国は人材派遣や資金面で地域を支援する。脱炭素事業に意欲的に取り組む自治体や事業者を集中的に支えるため、資金支援の仕組みを抜本的に見直し、複数年度にわたり支援する仕組みを構築する方針だ。

電気新聞2021年6月10日