電気事業連合会は21日、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、電気事業者として取り組む内容を発表した。供給側と需要側に分け、各分野でアクションプランとロードマップを策定し、必要となる条件や政策も盛り込んだ。電事連の池辺和弘会長は、同日の定例会見で「電力業界の総力を挙げ、地球温暖化防止と社会全体の進化・発展の両立に貢献できるように主体的・総合的に取り組んでいく」と意欲をみせた。

 電事連は20年12月、「2050年カーボンニュートラル実現推進委員会」(委員長=池辺会長)を設置。電力10社と日本原燃、日本原子力発電、Jパワー(電源開発)の社長が委員を務め、アクションプランやロードマップの策定などを進め、取りまとめた。

 取りまとめのうち、供給側は(1)再生可能エネルギー(2)原子力(3)水素・アンモニア発電、化石+CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)――と分類した。 原子力では、次世代軽水炉やSMR(小型モジュール炉)などを視野に入れたリプレース・新増設で、持続的な活用に取り組む。水素製造など原子力エネルギーの新たな活用に向けた検討も進める。

 水素・アンモニア発電は、30年頃から徐々に実装し、40年代には自律的な事業運営ができるようにする。化石+CCUSは、30年頃から設備を導入し、50年頃の自立・商用化を目指す。

 一方、需要側では電化の推進に加え、電気エネルギーによる水の電気分解で発生する水素を、電化が難しい分野で利用する「間接電化」に取り組む。25年頃から事業性が期待できる規模での実証を始め、40年頃に大規模な水素製造の商用化を視野に入れる。

 これらの取り組みを進めるため、政府に対し、設備投資や研究開発投資を促進・支援し、コストを社会全体で負担するための仕組みの構築や、国民理解の醸成などを要請。加えて、池辺会長は「経済産業省や環境省だけではなく、他省庁も含めた政府全体の施策として取り組んでほしい」と訴えた。

電気新聞2021年5月24日