東芝エネルギーシステムズはナセルを国内生産する(写真はGEの洋上風車ハリアデXのイメージ)

 日本の洋上風力発電市場を巡り、機器メーカーの競争の構図が明確になってきた。東芝エネルギーシステムズが11日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と洋上風力発電機器の生産で提携すると発表した。三菱重工業もデンマークの風力発電機器世界大手ベスタスと手を組み、2月に日本で販売会社を立ち上げた。日本では年内にも洋上風力促進区域における発電事業者が決まる。受注に向け、既にメーカーは水面下の交渉を始めている。

 東芝が国内生産するのは風車中心部で、発電機などを格納するナセル。GEの最新鋭洋上風車「ハリアデX」用となる。GEと東芝は知見を共有し、機器の製造コストを抑える考え。

 風力発電機器の国産化は、受注競争で優位に働くとみられている。日本政府が打ち出した「洋上風力産業ビジョン」は、部品の国内調達比率を2040年までに60%とする目標を掲げる。東芝は国産品を強みに受注拡大を狙う。

 一方、三菱重工は2月にベスタスの機器を扱う販売会社「MHIベスタスジャパン」を設立した。風車建設に必要な技術検討も手掛け、発電事業者を支援する。ベスタスは2月、洋上用で世界最大となる単機出力1万5千キロワット型を24年にも発売すると発表した。主力製品として日本市場にも売り込む計画だ。

 日本政府は洋上風力発電の導入量を大幅に増やし、40年までに3千万~4500万キロワットとするシナリオを描く。業界関係者は「日本の洋上風力市場は大きい。GE、ベスタス以外にも、スペインのシーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジーや中国のゴールドウインドなどが、日本市場開拓へ国内企業と組む可能性がある」との見方を示す。

電気新聞2021年5月13日