陸上養殖場の完成イメージ

 九州電力、水産専門商社のニチモウ、西日本プラント工業(福岡市、佐々木有三社長)など4社が19日、サーモン陸上養殖場の事業化検討を開始すると発表した。九州電力豊前発電所(福岡県豊前市)の敷地を活用し、九州最大となる年300トンの生産能力を備えた養殖場の建設を検討する。事業性を精査し、2021年9月をめどに事業会社設立を目指す。

 九州電力、ニチモウ、西日本プラントのほか、養殖の事業知見を持つ井戸内サーモンファーム(大分県由布市、濱砂慎吾社長)が事業検討に参加する。このほど養殖技術の検証、市場分析などの基礎調査を完了した。

 年間生産能力300トンの陸上養殖場の建設を検討する。国内には関東を中心にサーモンの陸上養殖場が複数あるが、九州での建設は実現すれば初めて。火力発電所は海水の取水・放水設備を備え、安定して地下水を確保できる。これらの特徴を養殖場にも生かせる可能性がある。

 陸上養殖場は閉鎖設備の中で生育環境を管理するため赤潮、ウイルスなどの外的要因を受けにくく、生産性が高い。養殖場で育てたサーモンを「みらいサーモン」と名付け、販売する計画。事業性を確認した上で、将来的には年3千トン規模への事業拡大を目指す。

 九州電力は19年9月に、豊前発電所の遊休地を活用した植物工場の事業化検討開始を発表したが、今年2月に検討を中止した。今回のサーモン養殖は18年度から検討を進めており、植物工場の検討中止との関連はないとしている。

電気新聞2021年4月20日