交流センター開設に当たり、取材に応じた伊藤理事(中央)。対話活動の拠点として

 
 原子力発電環境整備機構(NUMO)は26日、北海道寿都町と神恵内村に対話活動の拠点となる「交流センター」を開設した。NUMO職員が常駐し、両町村や周辺自治体住民などからの質問や問い合わせに対応する。寿都町で報道陣の取材に応じたNUMOの伊藤眞一理事は、「この場所を有効に活用して、地元との接点を増やしていきたい」と述べた。

 今回開設したのは、寿都町の「NUMO寿都交流センター」と神恵内村の「NUMO神恵内交流センター」。寿都町に7人、神恵内村に5人のNUMO職員が常駐し、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業に関する質問に答える。開館時間は平日午前10時から午後5時まで。また、札幌市内に両センターの支援拠点として札幌事務所を設置。6人が在籍する。

 伊藤理事は「地元の皆さんにできるだけ気軽に立ち寄り頂けるよう、『交流センター』という名前にした」と説明。寿都交流センターの末木克久所長は「地元の皆さんから温かく迎えてもらい感謝している。垣根なく、様々な話題について、懇切丁寧に対応していきたい」と意欲を述べた。

 この他、地層処分事業の内容や文献調査の状況などの情報を幅広く共有し、賛否の双方の立場から議論を促すため設置される「対話の場」について、伊藤理事は「鋭意、準備を進めているが、新型コロナウイルスの影響で、やや遅れている。なるべく早く実施したい」と述べた。

 寿都町では現在、町主導で「対話の場」への参加者選定を進めている。同町の片岡春雄町長が当面、傍聴を認めない意向を示していることについて、伊藤理事は「話し合いの結果については、公開を念頭に置いている。一方で公開の場に慣れていない人もいると聞いている。そういう(参加者の心情)部分と公開との両立に十分配慮しないといけない」との考えを示した。

電気新聞2021年3月29日