電力業界で2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが相次いでいる。昨年10月にJERA、昨年12月には沖縄電力が50年の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロへの取り組み方針を公表。これに続き、2月26日には関西電力、中国電力、Jパワー(電源開発)の3社が「実質ゼロ」への挑戦を表明した。発電分野で再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用、火力のゼロカーボン化を進めるとともに、電化や水素の普及拡大に取り組む方針だ。

 

関西電力、水素チェーン確立へ。需給両面でゼロ炭素化

 
 関西電力は2月26日、2050年までに事業活動に伴う二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「ゼロカーボンビジョン2050」を策定したと発表した。ビジョンは需要面と供給面でのゼロカーボン化に加え、水素社会への取り組みの3本柱で構成。原子力発電については次世代軽水炉、高温ガス炉、小型モジュール炉(SMR)などを視野に入れた原子力発電の新増設やリプレースの実現を目指す。需要面では、家庭・業務部門の顧客のエネルギー消費機器を全て電化する姿勢を打ち出した。

 

中国電力、火力の脱炭素化推進。石炭新規開発せず

 
 中国電力は2月26日、2050年までに発電事業やエネルギー利用分野などで二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」に取り組むと発表した。原子力発電の活用や再生可能エネルギーの導入を最大限拡大して、エネルギーの脱炭素化を推進する。従来型石炭火力の新規開発は行わず、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)や、水素・アンモニア発電など脱炭素電源の活用へ舵を切る方針を示した。同日会見した清水希茂社長は「グループ一体となってカーボンニュートラルへの取り組みを加速していく」と述べた。

 実現に向けたロードマップでは、グループ経営ビジョンの実行期間後も見据え、事業領域ごとに施策を示して具体化に取り組む。

 

Jパワー、CO2、30年時点で40%削減。経年石炭は順次廃止

 
 Jパワー(電源開発)は2月26日、2050年までに事業活動で排出する二酸化炭素(CO2)を実質ゼロとする目標を発表した。30年時点のCO2排出量は、17~19年度の3年間平均と比較して40%削減する。石炭火力については老朽化プラントから順次廃止する方針。CO2フリー水素の発電利用拡大や石炭ガス化、CO2分離・回収、バイオマス混焼など新技術の導入を加速する。陸上風力の更新や水力のリパワリングも着実に進める。

 カーボンニュートラルの実現に向けた行動計画「ブルーミッション2050」で重点項目を示した。

電気新聞2021年3月1日

※3月1日付の複数の記事の一部を編集して掲載しています。詳細は本紙をご覧ください。