経済産業省・資源エネルギー庁は8日、アンモニアの燃料導入拡大に向けた方策について、中間取りまとめを行った。燃料アンモニアの国内需要想定を、2030年に年間300万トン、50年に同3千万トンと設定。JERA以外の発電事業者によるアンモニア混焼・専焼の計画公表に期待を示した。エネ庁は水素と同様、まずはエネルギー供給構造高度化法の非化石エネルギー源にアンモニアを追加する方針。事業者の投資予見性を高める取り組みを強める。

 同日、エネ庁が事務局を務める「燃料アンモニア導入官民協議会」を開き、中間取りまとめを行った。中間取りまとめでは2050年カーボンニュートラルに向け、石炭火力への混焼は専焼に向けた過程と位置付けた。試算では、国内大手電力の全石炭火力を、専焼のアンモニア発電に置き換えた場合、電力部門の排出量の半分となる約2億トンの二酸化炭素(CO2)排出が抑制される。その第一歩として、石炭火力への20%混焼をまず目指す。

 石炭火力1基に20%混焼する場合、年間約50万トンのアンモニアが必要となる。現状データによる試算では20%混焼での発電コストは1キロワット時当たり12.9円で、石炭火力の1.2倍程度。製造国との関係にも留意しつつ、当面は製造プロセスでのCO2処理の有無を問わず、アンモニアの導入普及を図る。

 アンモニアは水素から生み出される。ハーバーボッシュ法による高温高圧下の触媒反応で製造。原料の水素は、天然ガスなどの化石燃料による改質反応、再生可能エネルギーによる電気分解などによって作る。アンモニアも水素製造法などに応じてブルー、グリーンに区分される。

 官民協議会には、民間からJERAやIHI、Jパワー(電源開発)、日本郵船、丸紅、三菱重工業などが参加していた。今後は、半年に1回程度会合を開催し、官民の取り組みの進捗状況を確認する。

電気新聞2021年2月9日