オンラインで行われた総合エネ調電力・ガス基本政策小委

 経済産業省・資源エネルギー庁は1月19日、2050年カーボンニュートラルに向けた電力・ガス産業の在り方について、検討を始めた。「需要家」「小売・卸取引」「発電・電源投資」の3視点に分けて課題を検証するほか、次世代型電力システムなども議論する。非化石価値への需要家アクセス向上や、小売・発電事業者の事業環境整備、「実質ゼロ」と安定供給の両立に向けた電源確保などが論点で、今後検討を深める。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電力・ガス基本政策小委員会(小委員長=山内弘隆・一橋大学大学院特任教授)で検討を始めた。

 昨年10月末の基本政策小委では、競争分野である発電・小売事業の長期的な方向性について検討に着手していた。これに「実質ゼロ」に向けた視点やガス事業の論点も加え、送配電事業も含めて検討を深める。15日の閣議後会見で梶山弘志経産相から検討を加速するよう指示があったことも踏まえ、本格的な議論をキックオフした。

 需要家の視点では、再生可能エネルギー発電事業者から需要家への直接供給を検討。加えて、非化石価値取引市場の見直しについて、総合エネ調の制度検討作業部会で夏頃までをめどに一定の取りまとめを目指す。

 小売・卸取引の視点では、スポット市場の在り方などを主に議論する。旧一般電気事業者が電源の限界費用ベースで日本卸電力取引所(JEPX)に売り入札する「限界費用玉出し」は見直しに向けて、これまで燃料費を基礎としてきた考え方について、電力・ガス取引監視等委員会の審議会などでまず検討を深める。

 この他、発電・電源投資の視点では、容量市場との整合性も踏まえ、新規の設備投資に長期予見性を付与する制度の検討を引き続き進める。「実質ゼロ」目標と安定供給の両立につながる仕組みを創設する方針だ。

 また、次世代電力システムの構築では、分散型電源の活用を促す託送料金制度について、監視委が検討する。現状、需要地と供給ポテンシャルがある場所は一致していない。こうした課題に対し、託送料金制度を変更することで、潮流の改善を目指す。

電気新聞2021年1月20日