経済産業省・資源エネルギー庁は15日、洋上風力産業ビジョンを発表した。2040年までに3千万~4500万キロワットの導入を目指す。案件形成を加速するため、政府が主導して風況調査や系統確保などを行う仕組みを確立する。洋上風力の電力を安価に需要地に送るため、直流送電網の整備を検討する。産業サプライチェーンの目標では、40年までに国内調達比率60%を掲げた。発電コストは30~35年までに1キロワット時当たり8~9円まで下げる。

 洋上風力の産業競争力の強化に向けた官民協議会で事務局のエネ庁が示した。ビジョンは第1次と位置付け、必要に応じて見直す。

 40年に4500万キロワットという政府目標を掲げ、EU(欧州連合)、中国に次ぐ世界3位の市場を創出する。実現には、浮体式のコストを大幅に低減する必要があると指摘した。地域ごとの導入量イメージも示し、最も大きい北海道は40年に955万~1465万キロワットとした。

 政府が案件形成を主導する「日本版セントラル方式」を導入する。現在も再生可能エネルギー海域利用法に基づき、国が地元調整や風況調査などを実施しているが、事業者も調査を行っているため重複を解消する。オランダが先駆けて導入したセントラル方式を参考にした。

 導入目標の実現に必要な系統整備のマスタープランは、1次案を来春までに公表する。直流送電の導入に向けた具体的な検討をマスタープランに反映する。直流は交流と比べて長距離を安価に送電できるメリットがある。

 サプライチェーンの形成を通じて、洋上風力産業の競争力を高め、アジアへの展開を目指す。必要な要素技術を特定する「技術開発ロードマップ」を20年度中に策定する。脱炭素技術向けに新設する2兆円の基金を活用し、浮体式の商用化を加速する計画だ。

電気新聞2020年12月16日