経済産業省・資源エネルギー庁は、家庭や工場、ビルなどへの蓄電システム普及に向けた方策を検討する。新たな検討会で、2020年度中をめどに具体策などを取りまとめる予定。これまで指摘されてきたコスト面のみならず、規制や標準化などに関する制度面、具体的な導入目標の設定など、普及の障害となっている要素などについて有識者を交えて幅広く議論する。

 エネ庁の省エネルギー・新エネルギー部・新エネルギーシステム課を事務局とする「定置用蓄電システム普及拡大検討会」(座長=伊庭健二・明星大学教授)の初会合が19日夜に開かれた。機微情報を扱ったため、会合は非公開だった。次回会合は来月の予定で、エネ庁は議題に応じて今後公開するかどうか検討するとしている。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会と、再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会は、7月22日の合同会合で「再エネ型経済社会」の早期実現を議論。その中で、再生可能エネの主力電源化に伴うエネルギーシステムを支える蓄電池の普及拡大が論点に挙げられており、別途検討会を設置して議論することになった。

 住宅用太陽光発電の普及が進む中、家庭用蓄電池市場の育成が急務となっており、自立的な普及拡大に向けた方策などを検討する。エネ庁によると、こうした定置用蓄電システム普及に向けた課題はこれまで体系的に整理されていなかった。

 蓄電池普及を巡って、エネ庁は蓄電池単独で電力系統に連系し、需給調整市場などで対価を得る「蓄電事業」について、電気事業法上の扱いを検討する意向。そうした検討は、今回の定置用蓄電システム普及とは切り分けて行う見通し。

電気新聞2020年11月25日