電気のデータを中心に宅内IoTプラットフォーム事業を展開しているエナジーゲートウェイ。第1回では電力データの活用方法や核となる家電分離技術、エネルギーに関する具体的なサービスについて紹介した。第2回では、電力データのさらなる活用方法として進めている宅内の生活状況推定をもとにした介護業務の負担軽減や要介護度の維持・改善など介護分野での取り組みについて紹介する。
 

電気は生活を映す鏡

 

 電気の動きは人の行動そのもの。電気の動きで生活スタイルやリズムが分かる。当たり前のように使っている電気、意識せずに使っている電気だからこそ、生活を映す鏡となる。東京電力グループのエナジーゲートウェイは、電気のデータを中心としたエネルギーマネジメント・リソース制御などのエネルギーに関するサービスだけでなく、他のセンサーデータとも組み合わせた見守り・医療介護などといった生活を便利にするサービスも提供していく方針だ。まずは、社会要請の強い介護分野の課題解決を実現するサービスを構築していく。

 ◆介護の課題に挑戦
 介護業界の少子高齢化による要介護者の増加と人材不足による社会保障費の増加といった社会課題に対して、東京電力パワーグリッド、ウェルモ(東京都千代田区、鹿野佑介代表取締役CEO)と共同で、電力データを活用した介護人材の業務負担軽減や要介護度の維持・改善を実現し、社会保障費の抑制をはじめとした課題解決を進めている。

 ◆介護現場を見える化
 介護の現場での電力データの活用として、ケアマネージャーがケアプランを作成する際に、要介護者宅の電気のデータを参考にするといった用途が考えられる。
 具体的には、電気のデータから居宅内での要介護者の生活状況をAIで推測し、その結果をウェルモが提供するアプリケーションへ表示する。また、AIで推測した生活状況と要介護者の介護情報(アセスメントなど)を基に、介護に関するアドバイスも表示する。このアプリケーションをケアマネージャーが使うことで、ヒアリング時間短縮などの業務負担軽減や、ブラックボックス化されていた要介護者の生活状況を知り、介護サービスを適正化するといった効果が期待される。
 

12月から都内でモデル事業

 
 これら介護分野での電気データの活用について、採択を受けた東京都の次世代ウェルネスソリューション構築事業で12月より東京都内の居宅介護現場をフィールドとしたモデルプロジェクトを実施する。要介護者宅の電気のデータを取得・分析し、アプリケーションを通してそれらの結果を提供する。これによりケアマネージャーの業務負担軽減や要介護度の維持・改善、QoL向上の可能性について検証を進める予定だ。検証結果を踏まえて早期の展開を目指す。

 また、将来的にはケアプラン作成支援AI「ケアプランアシスタント」へ、電気のデータおよびAIで推測した生活状況などの結果を連携し、ケアマネージャー業務をAI・IoTで一層支援していく考えである。

 今後もエナジーゲートウェイはサービスを一つひとつ着実に実現・普及していくとともに、データ活用に取り組む多様なプラットフォーム事業者やサービス事業者と積極的に連携していくことで、社会のデータ利活用促進とその基盤となることを目指していく。

電気新聞2020年9月14日

(全2回)