電柱に設置された宅配ボックスから荷物を取り出す様子

 関西電力送配電は19日、豊田自動織機などと、電柱を活用した「まちなか宅配ボックスサービス」の試行を開始したと発表した。京都府精華町内の約900世帯を対象に、いつでも誰でも利用できる共有型の宅配ボックスを5カ所に設置。宅配荷物の再配達回数の削減など、地域の生活利便性の向上を目指し、スマートなまちづくりにつなげる知見やデータを収集する。2021年1月末まで実施する。

 関西送配電が主体となり、試行実施の企画・運営・評価を行う。豊田自動織機は通信機能付きの宅配ボックスを提供し、保守・運営などを担う。関西電力グループの日本ネットワークサポート(大阪市、片岡正憲社長)は、電柱に取り付ける専用支持具を手掛けた。自治体の京都府、精華町や関電と連携し、ヤマト運輸、日本郵便、西濃運輸の協力も得た。

 これまでに関電送配電カンパニー時代、同じく精華町のマンション3棟・約30世帯向けに、電柱を活用した宅配ロッカーサービスを試行実施した実績もある。今回は国土交通省が選定した「スマートけいはんなプロジェクト」の一環として、町内の精華台1、2丁目の地域住民を対象に、自宅近くの生活動線上に宅配ボックスを設置。3~4の収納数を持つ3タイプを使用する。電柱には3カ所配置し、集会場、コンビニエンスストアにも設置した。

 利用は無料。宅配便事業者の不在票の情報など、専用の宅配コールセンターに電話して伝え、再配達先の宅配ボックスを指定。その後、着荷通知を確認し、携帯電話番号を基に荷物を受け取ることができる。

 関西送配電では「電柱に宅配ボックスを設置できれば、街の形状に応じて、面的に設置できる」というメリットを指摘。今後の事業化は総合的に検討する考え。

電気新聞2020年10月20日