CO2回収装置のイメージ図

 三菱重工業グループの三菱造船(横浜市、北村徹社長)、川崎汽船、日本海事協会は8月31日、船舶から排出される二酸化炭素(CO2)を回収する実証事業に着手したと発表した。洋上でのCO2回収実証は世界初の取り組みという。川崎汽船が運航する東北電力向けの石炭運搬船にCO2回収装置を搭載。2021年中頃から21年度末まで実証運転を行い、小型化や安定性が求められる洋上用CO2回収装置の仕様を決める。

 実証期間は2年間。三菱重工グループが持つ陸上用CO2回収装置の技術を転用し、デモ装置を製造する。デモ装置は工場での作動試験を経て石炭運搬船に搭載。排ガスの一部を取り込み、操作性・安全性評価や性能確認を行う。

 CO2回収装置の製造は三菱造船、運転は川崎汽船、操作性・安全性評価と性能確認は日本海事協会がそれぞれ担う。装置のCO2回収量は今後検討していく。

 実証は国土交通省海事局の補助事業「海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業」の一環。今回の実証では回収したCO2を大気に放出するが、3者は将来的にEOR(原油増進回収法)やCO2を原料にメタンを製造する「メタネーション」などに使うことを見据えている。

電気新聞2020年9月1日