経済産業省・資源エネルギー庁は、次期スマートメーター(次世代電力量計)の機能や技術的課題の検討に着手した。無効電力の取得によって電気自動車(EV)の充放電を系統の電圧管理に活用する案や、感電や浸水などのデータと組み合わせて分析することで、災害が発生しそうな地域の可視化などを行う案などが浮上。分散型電源の普及拡大や再生可能エネルギー主力電源化など、2030年代の電気事業の姿を見据え、新たな計測項目や活用方法などを検討する。

 次世代スマートメーター制度検討会の下に設置された「スマートメーター仕様検討ワーキンググループ」(WG、座長=石井英雄・早稲田大学教授)が29日に始動した。14年に本格導入が始まったスマートメーターは24年から順次、10年間の検定有効期限満了を迎える。分散型電源の普及など14年の導入当初は予期できなかった電気事業の変化も考慮し、将来のスマートメーターの検討を進める。

 初回会合は関連事業者や大学の関係者などが、現状課題や次期スマートメーターへの要望を説明。次期スマートメーターは、2030年代にかけて使い続けることが想定されるため、将来の電気事業の変化を意識した発言が目立った。

 梅嶋真樹・慶應義塾大学大学院特任准教授は、現状のスマートメーターでは、国が育成を目指すアグリゲータービジネスの障害になると主張。アグリゲーターのような市場新規参入者が、先行事業者と平等な条件でデータアクセスできる環境の確保を提案した。また、EVカーシェアリングを手掛けるREXEVの盛次隆宏取締役は、配電ライセンス制を見据え、変電所コードや配電線コードなど、マイクログリッドでの系統制御を考慮した仕様を求めた。

 次回以降のWGは、ガス・水道関連事業者も出席し、共同検針に関する技術的課題も議論する予定。

電気新聞2020年9月30日