政府はマイナンバーカードと電気工事士免状の一体化を検討する。デジタル改革を進める菅政権は、マイナンバーカードをデジタル社会のパスポートと位置付ける。運転免許証や国家資格とのひも付けを検討する際、電気工事士免状との一体化も議論が進む見込みだ。これまで紙製だった免状がデジタル化されることで、現場で働く電気工事士の利便性が向上しそうだ。

 電気工事士が電気工事作業に従事する際、電気工事士法で免状の携帯が義務付けられている。ただ、電気工事士免状は旧来の紙製で携帯するうちに劣化が進むなど使い勝手が悪く、業界から改善の要望が出ていた。

 経済産業省は他省庁が所管する国家資格を参考に、電気工事士免状のプラスチックカード化を2019年度から検討していた。ただ、内閣官房が今年6月にマイナンバー制度などに関するワーキンググループ(WG)を設置。国家資格証などとの一体化の検討が始まったため、その方向性も模索してきた。

 その後、具体的な検討は進展していなかったが、デジタル改革を重視する菅政権の発足が、電気工事士免状一体化に向けた後押しとなる見通しだ。デジタル庁設置など一連の改革の議論進捗を踏まえながら、経産省も一体化について対応を検討する。

 23日の政府のデジタル改革に関する閣僚会議では、喫緊の課題としてマイナンバーカードのさらなる活用が挙げられた。既に運転免許証との一体化も浮上しており、これに加えて電気工事士免状などの各種国家資格がひも付けされれば、マイナンバーカード普及の後押しにもなる。同時に、現場で働く電気工事士の利便性向上にもつながる可能性がある。

電気新聞2020年9月25日