経済産業省・資源エネルギー庁は8日、次世代スマートメーター制度検討会(座長=森川博之・東京大学大学院教授)の初会合を開き、次期スマートメーターの仕様に関する論点を提示した。30分間隔となっている計量頻度の見直しや、無効電力など計量項目の追加を挙げたほか、通信についても容量を想定した上で最適な方式を選択する。特に、30分間隔の短縮は多くの委員やオブザーバーが要望した。技術的課題については、スマートメーター仕様検討ワーキンググループ(WG)を設置して議論を深める。

 30分の計量頻度は、2010年~11年に開かれたスマートメーター制度検討会で固まったが、約10年がたち、新事業を創出する観点から障害となりつつある。

 ローソンでのデマンドレスポンス(DR)プロジェクトに携わった梅嶋真樹・慶應義塾大学大学院特任准教授は、30分間隔のデータでは「サービスをつくることができない」と強調。グリッドデータバンク・ラボの平井崇夫チーフディレクターは、30分値を前提として新事業の検討を進めているとしたものの、「細かい方がありがたい」と要望した。

 また、過去のスマートメーター制度検討会で座長を務めた林泰弘・早稲田大学大学院教授は、メーター基点で電圧管理を行うために、無効電力をスマートメーターで計量できるよう求めた。主要国では日本だけが無効電力を計測しておらず改善を訴えた。

 この他、ガスや水道との共同検針や、費用対効果を踏まえた機能の選別なども論点として挙げた。さらに、健康被害やプライバシーの観点からスマートメーター設置を拒否する権利(オプトアウト)をどう位置付けるかなど、幅広い議論が展開される予定。

電気新聞2020年9月9日