日本や欧州、米国など世界7極が建設している国際熱核融合実験炉「ITER」の本体の組み立てが7月28日、フランス南部のサン・ポール・レ・デュランス市で始まった。2025年のファーストプラズマ点火を目指し、今後は各極が分担して製作してきた機器の設置を進める。28日には現地で式典が開かれ、ITER機構のベルナール・ビゴ機構長らが出席。仏マクロン大統領など各極の首脳も祝辞を寄せた。
式典で、ビゴ機構長は「組み立ては最も難しいフェーズ。巨大な3次元パズルをつくるようなものであり、正確に組み立てなければならない」と決意を述べた。
ITERは、核融合エネルギーの実現に向けた実証を行う大型国際プロジェクト。日本と欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドの世界7極が参加している。建設は07年にスタートし、20年6月時点で進捗率は70%に達している。28日に始まった本体組み立ては4年半ほどかかる見込み。
日本はプラズマを閉じ込めるための強力な磁場を発生する超電導トロイダル磁場コイル(TFコイル)の製作などを担当している。製作するTFコイルはITERに設置する全19基のうち9基分。今年1月末には初号機が三菱重工業神戸造船所二見工場(兵庫県明石市)で完成し、4月に現地へ搬入された。
この他、量子科学技術研究開発機構(量研機構)の那珂核融合研究所(茨城県那珂市)で3月に組み立てが完了した核融合実験炉「JT―60SA」での研究成果も提供される予定だ。
世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス対策として、今年1月から危機管理体制を強化。対策本部の設置やITER機構全体でのテレワーク導入などを実施しており、現時点では感染者や建設作業の遅延は見られないという。
電気新聞2020年7月30日
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