経済産業省・資源エネルギー庁は31日の有識者会合で、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)認定を受けた電源の長期未稼働問題に対応するため、認定失効制度の概要を固めた。系統連系着工申し込みを行っていない案件は、運転開始期限の1年後の時点で認定を失効する。申し込みを行った案件は、失効までの猶予期間として運転開始期間を2倍に延ばす。今後、意見募集を行った後、年内にも制度を確定させる。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長)と、再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(同)の合同会合で事務局が案を示し、委員から了承された。

 FIT制度では認定を受けてから太陽光は3年、風力は4年以内に運転を始めるよう求めている。この運開期限から1年後までに系統連系着工申し込みを済ませないと認定を取り消す。系統連系着工申し込みは、事業者が送配電事業者に対して行うもので、運転開始前の最終盤のプロセスとなっている。

 申し込みを行えば運開期限が2倍に延び、太陽光なら認定から6年以内の運開を目指すことになる。エネ庁は過去の運開案件を調査した結果、期限を2倍に延ばせば件数ベースで95%以上が稼働しており、十分な時間だと判断した。

 2017年度までにFIT認定された風力、水力、地熱、バイオマスは運開期限が設定されていない。これらは今回の失効認定制度による措置が決定した日を起算点とし、運開期限を一律に設定する。その上で他の案件と同様に失効制度を適用する。例えば、風力の場合は制度措置の決定日から4年後を運開期限に定める。

 16年度に認定された太陽光の未稼働案件も、15年度までの認定案件と同様に、調達価格への対応を整理した。系統連系着工申し込みが送配電事業者に21年3月末までに不備なく受領され、運開準備段階に入った案件は従来の調達価格を維持する。間に合わなかった場合、運開準備段階に入った時点から2年前の調達価格を適用する。

 大規模案件は開発工事への準備・着手が公的手続きにより確認されれば、運開期限に調達期間に当たる年数を加えて失効リスクを取り除く。失効リスクがあると、金融機関からの資金調達が困難になる問題に配慮した。電気事業法に基づく工事計画届出などが条件。2千キロワット以上の太陽光などを想定する。

電気新聞2020年9月1日