試験飛行中のSOFC搭載ドローン

 産業技術総合研究所(産総研)などは、燃料にLPG(液化石油ガス)を用いる固体酸化物型燃料電池(SOFC)搭載の新型ドローンを開発した。最大積載量30キログラムの大型ドローンで、SOFCが発電した電力と蓄電池を併用して飛行する。現行の飛行時間は蓄電池のみのドローンと同程度の15分程度だが、今後SOFCの高出力化や軽量化により、1、2時間の飛行を視野に入れる。ドローンはインフラ点検などでの活用を想定する。

 産総研やドローンメーカーのプロドローン(名古屋市、河野雅一社長)などが15日に発表した。SOFC搭載のドローンは世界初の開発という。ドローンの動力源は蓄電池が一般的だが、エネルギー密度の問題があり飛行時間は15分程度にとどまっていた。水素を燃料とする燃料電池搭載のドローンも研究が進むが、産総研は水素より安価な燃料としてLPGを選択した。

 開発したSOFC搭載ドローンは、家庭用カセットボンベ2本を燃料にSOFCで発電。電力はドローンと蓄電池に供給する。飛行時間長期化を目指して、これまでに電池スタックを軽量化。出力当たりの重量は従来製品から60%低減した。

 今後も軽量化や燃料電池の高出力化を進めるとともに、ドローンの設計を最適化する。飛行中の安定性などを高めて、飛行時間を長期化する。ドローンは将来的に物流やインフラ点検、災害対応時に利用する計画。

 今回の研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、2017年に開始していた。

電気新聞2020年6月17日