経済産業省・資源エネルギー庁は、FIT法(再生可能エネルギー特別措置法)に基づく「指定電気事業者制度」を廃止し、東京、中部、関西を含む全エリアを無制限・無補償ルールに統一する方針を固めた。3社の接続可能量を試算した結果、算定条件によっては太陽光の接続量や契約申込量が既に接続可能量を超過するケースなどがみられたため。新規連系する発電事業者間、電源間の公平性などを確保する。これまで指定電気事業者に限られていた出力制御見通しの公表も東京、中部、関西の一般送配電事業者に求める。

 16日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の系統ワーキンググループ(WG、座長=荻本和彦・東京大学特任教授)で、委員から大筋で了承された。

 再生可能エネルギーの急速な拡大によって、東京、中部、関西の3社を除く全てのエリアで、太陽光・風力のいずれも「30日等出力制御枠」を超過し、各一般送配電事業者は経産相によって指定電気事業者に指定されている。指定電気事業者制度では、制御枠を超えて接続する発電事業者には、無制限・無補償での出力制御に同意してもらうことが前提になる。一方、東京、中部、関西の3社エリアにはまだ制御枠がなく、新規に接続する発電事業者には太陽光で年間360時間、風力で同720時間をそれぞれ上限とするルールなどが適用されてきた。

 ただ、需要規模が相対的に大きい東京、中部、関西の3社エリアでも徐々に再生可能エネの割合が増えている。エネ庁は公平性の観点などから、3社エリアでの速やかな無制限・無補償ルールへの移行を目指す。これに併せて、役目を終えつつある「指定電気事業者制度」を廃止する方針だ。

 16日の系統WGで、大山力・横浜国立大学大学院教授は「まだ余裕があると思っていたら、東京はかなりきつい状況になっている。もっと前に算定結果を出してほしかった」と強調。その上で「早急に無制限・無補償に移っていく必要がある」と述べた。

電気新聞2020年7月17日