「smartNeji」のイメージ

 産業用締結部材の開発・製造・販売を手掛けるNejiLaw(東京都文京区、道脇裕社長)は15日、通信回路を搭載したねじ「smartNeji」の実証事業を関電工と行うと発表した。風力発電設備や送電用鉄塔のメンテナンスの省力化を図ることが目的。関電工はメンテナンスに関する知見を提供するとともに、つくば技術研究所(茨城県かすみがうら市)にある模擬鉄塔を貸し出す。将来的には実際の設備に「smartNeji」を取り付ける考えだ。

 「smartNeji」はNejiLawとカシオ計算機との共同開発品。緩まない構造を持つNejiLaw製のねじに、「G―SHOCK」で培われた耐衝撃・耐振動性・低消費電力の通信回路を搭載している。

 締結作業中の状態確認をはじめ、締結部における応力などの情報を無線で収集。さらに、NejiLaw独自の人工知能(AI)を活用した監視システム「God Eyes」で解析すれば構造体全体の健全性を把握できるという。

 NejiLawと関電工は2019年10月にも電力インフラの施設・設備工事の際に生じる応力の負荷状態を“見える化”する技術の共同研究開発契約を結んでいる。

 実証でNejiLawはボルトの締め付け力、構造物の状態を遠隔で計測できる材料や監視システムを開発する。模擬構造物を使ったフィールドテストも行う予定。同社は「従来の設備の保守方法を根底から変え、長期的に現状の電力インフラを保持可能とすることを目指す」としている。

電気新聞2020年6月16日