世界風力会議(GWEC)が22日までに公表した世界の風力発電事業者データベースによると、2019年末時点の風力発電規模(出力ベース)トップ15社のうち、中国国営企業が7社を占めた。首位となった国家能源集団は、18年末から約297万キロワットを上積みして4225万キロワットとなった。同社を含め上位4位までを中国企業が独占した。中国以外ではスペインのイベルドローラ・リニューアブルズ(1775万キロワット)の5位が最上位だが、18年の3位から順位を落とした。

 データベースによると、19年末の累計風力発電規模は18年末から6千万キロワット増の約6億5千万キロワットだった。

 首位の国家能源集団に続く2位は、中国華能集団で18年末比1089万キロワット増の2263万キロワット。昨年6位から躍進した。3位の中国大唐集団も同1051万キロワット増の1953万キロワットで昨年8位から浮上した。欧州勢では最上位のイベルドローラが同196万キロワット増の1775万キロワットで5位、北米勢の最上位は米国ネクステラ・エナジーの8位で、同58万キロワット増の1411万キロワットだった。

 GWECのデータによると、18年末までは欧州勢も上位3社に入っていた。ただ、中国政府による風力発電の導入拡大方針を受けて、中国国営企業の発電規模が拡大。欧米勢が200万キロワット以下の上積みにとどまる一方で、中国華能集団などが1千万キロワットを超える稼働を実現し、上位に進出した。

 日本風力発電協会によると、「中国の年間電力需要は世界一。近年は年2千万~3千万キロワットの風力発電を新規稼働しており、上位独占は時間の問題だった」としている。

 GWECは洋上風力に限定した発電規模も公表しており、1位はデンマークのオーステッドで367万キロワットだった。2位は全体で首位だった国家能源集団で204万キロワット。その後はRWE(ドイツ)、バッテンフォール(スウェーデン)と続く。トップ10までをみると欧州が4社、中国が3社、北米が2社、オーストラリアが1社で風力発電全体よりも偏りが少なかった。

 ただ、洋上風力発電についても、同協会は「中国が本腰を入れれば一気に独占する可能性がある」と指摘する。

電気新聞2020年6月24日