経済産業省は、水素燃料電池を搭載したドローン(水素ドローン)の普及に力を入れる。今後の安全運用を促すガイドラインを初めて策定し、衝撃緩和対策などを定めた。水素ドローンは物流用途などでの運用が期待できるものの、高圧ガス容器が搭載されており、一定高度以上で飛行させた場合のリスクもある。安全に関する指針をまとめることで、関連市場の創出につなげる。

 水素ドローンの安全措置に関して、有識者委員会で審議。その成果をガイドラインとしてまとめ、経産省が10日に公表した。

 ガイドラインでは高圧ガスの安全性を確保するため、水素ドローンの取扱者が特に注意すべき項目を記載し、具体的な方法を例示した。製造・販売者にはユーザーに講習を受講させることなどを求めて、安全運用に責任を負わせる。管理・操縦者には容器の温度を40度以下に保持することや、湿気・水滴による腐食を防ぐことなどを要請する。

 水素ドローンは、リチウムイオン電池を搭載したドローンと比べて長時間飛行が可能。災害対応や物流などで大きな需要がある。一方、衝撃緩和に関する知見が不十分で、高圧ガス保安上の観点で課題があった。

 こうした課題を踏まえて、産業技術総合研究所(産総研)と高圧ガス保安協会が連携。安全上のリスクと高圧ガス容器保護装置の適格性を評価するための実証試験を実施した。その内容を踏まえ、150メートルの高度から落下した場合の衝撃試験や、容器の内部圧力を高めて漏出がないかを確認するサイクル試験などで基準を満たすことを要件とした。

電気新聞2020年4月15日