開発中の超急速充電器のイメージ図

 出力50キロワット超の電気自動車(EV)用急速充電器の開発・普及が加速しそうだ。現行の総務省令では出力20~50キロワットのみを急速充電器、50キロワット超は変電設備に定義している。変電設備のままではEVユーザーが自身で充電できないなどの不都合が生じるため、総務省消防庁が省令改正に向けて動きだした。第一歩として、全出力50キロワットを超える電気自動車用急速充電設備の安全対策に関する検討部会(部会長=小林恭一・東京理科大学総合研究院教授)を昨年7月に発足。業界団体の意見を踏まえて4月までに防火安全対策の報告書をまとめた。

 EVに搭載される電池容量は技術開発の進展で増加傾向にある。日産自動車も「日産リーフ」が40キロワット時だったが、最新版「日産リーフeプラス」では62キロワット時に増加している。

 容量が増えれば充電時間も延びる。出力50キロワットの急速充電器の場合、62キロワット時をフル充電すると30分以上を要する。このためメーカーは“急速”の役割を果たすため、充電時間を短縮化できる出力50キロワット超の製品開発を進めている。

 ただ、現行の省令で出力50キロワット超は変電設備扱いとなるため、消防庁が省令改正に向けて動きだした。昨年7月に立ち上げた検討部会が、50キロワット超の高出力になった際の急速充電器の火災リスクや周辺への延焼リスクを抽出。その上で、充電器に求める性能や周辺との離隔距離をまとめた。

 公表した防火安全対策の報告書では、充電器を構成する冷却装置の液漏れ対策や、充電コネクターの落下防止措置などを求めた。さらに屋外に設置する場合、漏電遮断器などの安全装置を内蔵しなければ、建築物から3メートル以上の離隔距離が必要と示した。

 このほか、蓄電池内蔵型急速充電器向けの対策も盛り込んでおり、温度センサーなどの異常を検知した際は自動的に充電器を停止する仕様を求めている。

 今回まとめた報告書を基に消防庁は今後、省令改正で50キロワット超も急速充電器に定義するほか、市町村が策定する火災予防条例の改正を推し進める考え。メーカーはこれら基準に沿う製品開発が求められるが、消防庁予防課は「報告書には、急速充電器メーカーや研究者の意見も含まれている。今後は安全確保を大前提にメーカーの開発促進につながり、ユーザーが使いやすい改正を考えている」と説明。具体的な改正時期については未定としているが、50キロワット超急速充電器の普及を前に早期の実現を目指している。

電気新聞2020年5月14日