経済産業省は、物流分野の新たなモビリティーサービス(物流MaaS)を確立するため、今年度から商用車メーカーなどとの取り組みを強化する。地域内を対象とする支線配送では商用電気自動車(EV)の活用を視野に入れ、荷主や運送事業者、電力会社とも連携。航続距離、静音性などの特性を踏まえた運用方法や、時間帯別の充電モデルの検証を進める。

 経産省は物流分野の環境規制、人手不足、デジタル化などへの対応の方向性をまとめ、4月20日に公表した。業界全体の課題解決に向けて、商用車のコネクテッド化やデジタル技術の活用を通じた共同輸送が重要になると指摘した。今後、トラックデータの標準仕様(日本版FMS標準)を活用した運行管理の仕組みなどを検討していく。

 「幹線輸送」「中継拠点」「支線配送」に分け、今後の課題や重要な取り組みも提示。支線での活用を目指す商用EV(電気自動車)に関しては、ユーザーによる経済合理性の検証・判断を可能にする指標の整備が必要とした。普及を阻害している要因として「車種の選択肢がない」「車両価が高い」「航続距離不足」などが指摘された。解決策としては、中古バッテリーの利活用拡大、充電インフラのシェアリング、現行ディーゼル車と同等の補助制度導入などを挙げた。

 貨物自動車の二酸化炭素(CO2)排出量は運輸部門の4割を占める。燃費に関しては改善傾向となっているものの、積載率が低下しており、輸配送にかかるエネルギー消費量が悪化していた。ドライバー数の減少や運行管理システムの連携といった課題と合わせ、有識者、商用車メーカー、物流事業者などが参加する「物流MaaS勉強会」で検討してきた。
電気新聞2020年4月22日