航空機検査を行うハイボット製ロボットの「フロート・アーム」

 東京パワーテクノロジー(TPT)は16日、ロボット技術開発を手掛けるハイボット(東京都品川区、ミケレ・グアラニエリ社長)と資本業務協定を締結したと発表した。TPTが第三者割当増資に応じたもので、出資額は非公表。今後、ハイボットのロボットを活用した発電所でのインフラ点検サービスなどに取り組む。

 TPTは火力、原子力、再生可能エネルギーの各プラント施設の計画や施工、維持管理を担ってきた。ハイボットとの業務提携を通じ、ロボットによるメンテナンス業務に加え、インフラ点検の省人化やデジタル化にも力を注ぐ。両社の知見や技術を持ち寄ることで、各種サービスの高度化を進めたいとしている。

 ロボット開発で知られるハイボットは、東京工業大学のメンバーが中心となって2004年に設立。先端科学技術の産業応用を掲げており、「汚い」「危険」「きつい」といった極限環境でのロボットの活用に注力してきた。

 中でも、ヘビのように細長くしなやかな動作が特長の遠隔作業用ロボット「フロート・アーム」は、独自のモーションコントロールを採用。狭く見通しの悪い環境下でも、高精度に設備データを取得できる。既に航空機や石油、ガス業界とも提携している。

 電力会社との協業を巡っては、関西電力などと超高圧架空送電線点検ロボットを開発した実績を持つ。送電線上を自走し、表面状況や外形寸法を測定できる。このほか、東京電力福島第一原子力発電所の点検作業にも自社ロボットを導入している。

 高い技術を誇るハイボットとの業務提携について、TPTの佐藤正俊取締役は「ハイボットが持つ高度なインフラ点検技術などによって、プラントメンテナンスのさらなる省人化・高度化の実現を期待している」と話した。

電気新聞2020年4月20日

航空機検査を行うハイボット製ロボットの「フロート・アーム」