PCSに監視制御ユニットを取り付け、遠隔で操作できるように工事した
PCSに監視制御ユニットを取り付け、遠隔で操作できるように工事した

 中国電気保安協会(小野雅樹理事長)は、電力の需給バランスを取るのに必要な太陽光発電所の出力制御について、発電所の停止や運転再開を遠隔操作で行える「太陽光発電遠隔運転・停止システム」を4月から提供する。システムは発電所に出向かなくても、タブレット端末を使って離れた場所から発電所のパワーコンディショナー(PCS)を操作。停止、運転といった制御を容易に行う。電力需給の安定上、送配電事業者から求められる出力制御に対し、機敏に応じる技術として注目される。

 システムの提供先は、主に2015年以前に電力系統への接続が承諾された、いわゆる旧ルールの太陽光発電事業者。旧ルール事業者は、一般送配電事業者から発電停止の指示を受けると、それに従い発電を制御しなけばならない。4月から中国電力ネットワークのエリアで出力制御の対象期間が始まることから、制御の指示に従う事業者側で、システムの需要が高まっている。

 通常、発電所の出力制御は、実施する度に現地に足を運ぶが、システムを導入するとその手間を省ける。中国電力ネットワークが指定する発電停止時間と発電再開時間を事前に登録しておくと、自動的にその時間に操作を行う機能も用意した。

 中国保安協は昨年9月からシステムの事前申し込みを受け付けてきた。協会が保安管理業務を行っている太陽光発電事業者の中で、旧ルール対象事業者は250件程度と推定され、今月18日時点で78件がシステムの契約を結んでいる。

 システムを動かすのに必要な監視制御ユニットの設置工事は順次、顧客の太陽光発電所内で行われている。今月17日には広島県の太陽光発電所で工事を実施し、作業員2人で約3時間かけて監視制御ユニットをPCSに取り付けた。同発電所の運営・保守を行っているウエストO&M担当者の立ち会いの下、適切にシステムが稼働することを確認。作業を行った中国保安協の職員は「ウェブ上で簡単にPCSを操作できるようになる」と利便性をアピールした。

電気新聞2020年3月26日