アットサーチのイメージ画面。画面下部のストリートビューで目的の電柱周辺状況も
アットサーチのイメージ画面。画面下部のストリートビューで目的の電柱周辺状況も

 関東で昨年相次いだ台風被害。配電設備の復旧ではTEPCO光ネットワークエンジニアリング(東京都文京区、山田敏雄社長)の電柱位置検索システム「アットサーチ」が効果的に使われた。これにより、土地勘がなくてもピンポイントで目的地を見つけて簡単にルートを検索できたほか、被災前の状況を画像で確認できた。東京電力パワーグリッド(PG)配電部は「大規模災害の対応には必要なもの」と高く評価している。

 アットサーチは、東電PGエリア(島しょ部は除く)の電柱580万本の位置情報を米グーグル「グーグルマップ」上で利用できるサービス。ナビゲーション機能でルートを探せるほか、ストリートビューで周辺状況を見られる。2016年8月に提供を始めた。

 昨年9月、台風15号による停電復旧が長引いた千葉エリアには全国から1万人規模の応援が駆け付けた。東電PG配電部は目的の電柱へ案内する際にアットサーチを活用した。通常の住所検索ではピンポイントで位置を特定できない。電源車の燃料補給においても、電柱番号からルートを検索できた。また、ストリートビューの画像は設備復旧方法を検討する上で有益な情報になった。

 さらに、高圧線復旧後も低圧設備の問題で停電が続いた顧客、いわゆる“隠れ停電”への対応にも寄与。スマートメーターの情報で該当する顧客を把握し、引き込み線がつながっている電柱を特定してスムーズに現地へ向かった。こうした実績を評価した東電PG配電部は、翌月の台風19号に対する備えの一つとして、一時的に利用ID数を1200から1700に増やした。

 アットサーチのID発行数は現在、約900社計2千程度。東電PGとグループ各社、電気工事店、配電工事会社が中心だが、配電線に再生可能エネルギーを接続したい事業者、電柱以外に目印がない場所からの通報を想定した消防関係の利用もあるという。TEPCOネットの飯田健次営業部長は「機能を絞り、動作が軽く、誰でも気軽に使えるのが強み」とアピールする。

電気新聞2020年2月19日