東京電力リニューアブルパワー(RP)が4月1日に始動する。東電ホールディングス(HD)から引き継ぐ再生可能エネルギー電源は約1千万キロワットで、再生可能エネ発電事業者としては国内最大。今後は東電RPを中心に、国内外で再生可能エネを600万~700万キロワット開発する。再生可能エネ発電事業は投資家の人気も高まっており、債券市場から資金を呼び込むことも期待されている。

 東電RPは、東電HDで4社目の基幹事業会社になる。2019年10月1日に発足し、今年4月1日に効力が発生する吸収分割契約を既に締結した。

 東電HDから移管するのは国内外の再生可能エネ発電事業で、水力164カ所・987万3410キロワット、太陽光3カ所・3万キロワット、風力2カ所・2万770キロワットの計992万4180キロワットを運営・管理する。

 母体となるのは東電HDのリニューアブルパワー・カンパニーと風力事業推進室だ。東電RPには両組織に所属する人員をベースに1100人規模が移る見込み。現在は、経営機構や約款・マニュアルの整備、システム構築を進めている段階だ。

 東電RPのロゴは、東電HDの赤いTEPCOのロゴを緑に塗り替えたものに決定した。「東電が再生可能エネに取り組んでいることを世の中に知ってほしい」との理由から、他の基幹事業会社のように独自のデザインを採用せず、あえて認知度が高い既存のロゴデザインにしたという。

 バリューチェーンを強化するため、再生可能エネ関連のグループ会社も一部組み替えを実施する。これまで東電HDグループだった東京発電、ユーラスエナジーホールディングス、ベト・ハイドロは4月以降、東電RP傘下となる。

 東電RPに移管する再生可能エネ事業の売り上げ規模は約1千億円。今後は独自の事業計画を出すかどうかも含めて検討するが、現行では30年度までに再生可能エネ事業の利益水準を1千億円に高める計画だ。そのために国内外で再生可能エネ電源を積極的に開発する方針で、今後は多くの投資資金も必要になる。

 東電HDは現在、資金調達を銀行からの借り入れと社債などで賄っているが、社債は東電パワーグリッド(PG)しか発行していない。東電RPが債券市場から資金を呼び込めるようになれば、調達環境は安定する。

 再生可能エネ発電事業に対する投資家の評価は高く、東北電力がグリーンボンド(環境債)を発行し、50億円を調達したケースなどがある。

電気新聞2020年2月26日