北陸電気工事と平野電業(富山市、平野晴夫社長)は5日、富山県南砺市が譲渡先を公募していたスポーツクライミング施設「桜ヶ池クライミングセンター」について、同市選定委員会から譲渡先として選定を受けたと発表した。送配電工事業で人手不足が深刻化する中、両社は高所を得意とするクライミング選手が業界への適性が高いとみて、大会の開催などを通じ同施設を“人材採用の拠点”にする考え。
◇電工に適性
北陸電工は、送配電工事業が採用難に見舞われる中、スポーツクライミング経験者に着目。持久力、忍耐力、判断力などクライミングに必要とされる能力が、危険を伴う高所作業など送配電業務の適性に合致すると評価した。また、競技のみで生計を立てられる選手は一部で、多くの競技者が就職で苦労しており、クライミング施設の購入がマッチングの機会創出になると判断。平野電業と共同で応募を決めた。
桜ヶ池クライミングセンターは、2000年の富山国体に合わせ完成。高さ15メートルの可動壁2面と固定壁2面、屋内練習場にリードクライミング壁2面、ボルダー壁2面を備える本格的施設。譲渡は建物のみで、土地は貸し付けとなる。施設の運営・修繕などは平野電業が行う。3月の南砺市議会での承認を経て、正式に両社への譲渡が決まる。
◇大会誘致へ
ただ、施設が現在のクライミング規格に合致しておらず、大規模な大会の開催には改修が不可欠となる。そこで5月から壁面パネルの交換や設備の改修工事を実施し、20年度にも全国大会「ジャパンツアー」などの開催を目指す。全国規模の大会を誘致することで、南砺市のPRやスポーツ振興に貢献する。
スポーツクライミングの競技種目の一つであるボルダリングの国内競技人口は約60万人とされ、若年層や女性に人気があり、競技人口は年々増加しているという。北陸電工では、「南砺市でクライミング選手の囲い込みに成功すれば、効率的な人材採用につながる」と期待する。
また就職を希望する選手の出身地によっては、全国の電工各社への紹介も検討するという。両社は業界全体の施工力確保も踏まえ、全国初の試みに挑戦する。
電気新聞2020年2月7日
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