経済産業省・資源エネルギー庁は、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の入札制度の運用を一部見直す。過去に実施した入札で、一度落札した後、辞退したにもかかわらず、次回入札でそれを上回る価格で応札した事例があったためだ。来年度以降の入札では、同一の事業計画で再度応札・落札された場合には、辞退した根拠などを合わせて開示する仕組みを導入する。措置を講じてもなお同様の事案が発生すれば、現在事業者に求めている第1次保証金の増額なども検討する。来年度以降の調達価格等算定委員会で詳細を詰める方針だ。

 現行制度では、応札・落札した後でも必要な手続きを踏めば、辞退することが可能な仕組みになっている。その一方で、応札容量が募集容量を上回っていれば、辞退者が出ると他の事業者にとって最終的には機会が損なわれることから、再生可能エネのコスト効率的な導入拡大を妨げることにもなりかねない。エネ庁は未稼働案件が滞留しないよう、保証金を没収した上で辞退を行うことを認めている。

 ただ、過去に実施した入札では、一度応札・落札した後に辞退の届け出を行ったにもかかわらず、同一の事業計画で次の入札に参加。1回目よりも高い価格で応札している事例があったという。

 エネ庁では、再生可能エネ発電事業者に超過利潤が生じ、国民負担の増加を招く恐れがあるとして対策が必要と判断した。

 このため、2020年度以降の入札では、応札後に辞退した事業計画と同一地点で実施する事業計画が落札された場合、発電事業者の異同にかかわらず、辞退した回の応札価格と過去の入札で辞退した理由について落札価格と合わせて公表する。

電気新聞2020年1月28日