伐採した枝葉をチップ化する作業員。処理量、作業効率が向上した
伐採した枝葉をチップ化する作業員。処理量、作業効率が向上した

 静岡県と東京電力パワーグリッド(PG)静岡総支社(伏見保則総支社長)は、災害時の倒木による電線などのライフラインの被害を防止するための予防伐採を今月14日から試験的に実施している。国道414号の伊豆市湯ケ島地区で、約1・5キロメートルにわたり展開。20日には予防伐採の必要性について共通認識を醸成することを目的に現地見学会を開き、報道陣や7市町など約60人が参加した。作業は、「河津桜まつり」開催前の2月初旬に完了させる。

 県によると、現場となった天城地域は雨量が多く、法面崩壊などのリスクが高いという。県危機管理部の酒井浩行・危機対策課長は、「今回を先進的な事例として、皆で見て今後の検討をしたい」と話した。

 伐採作業は関電工が担当した。ロープで枝を吊り上げ、チェーンソーで切断。クレーンで伐採した枝葉を地上に下ろし、伐採木破砕(チップ化)運搬車で処理するという流れだ。伐採時は車を完全に通行止めにし、枝葉を地上に下ろして安全が確認されてから通行を再開させるなど配慮した。

 2018年度夏以降の度重なる台風被害に伴う停電では、一部エリアでは倒木や飛来物などの撤去に長時間を要し、停電が長期化したケースがあった。昨年の台風19号では、東電PGエリアの静岡県東部で約4万5千件の停電が発生。このうち、8割以上が倒木に起因するものだった。

 こうした事象を踏まえ、県と静岡総支社は国や県などの所有地である「官地」を対象として、協働で予防伐採を展開。今回の事業の特徴は、従来の伐採可能範囲を超えた予防的な伐採が行えることだ。

 例えば、道路管理者は道路構造令に定める建築限界内(路面から高さ4・5メートル)の枝葉まで、電線類管理者は架線に直接影響する枝葉(架線から2メートル程度)の伐採が原則だった。

 伐採可能な範囲を拡大することで、災害時の緊急車両の通行確保や停電防止を図る。さらに、県と電力が協働で行うことにより、規制期間の短縮や交通整理人不足の解消などが見込める。伐採した枝葉は、静岡総支社が所有するチップ化運搬車を活用して処理。減容化することで処分量を増やすとともに、処分費の縮減にも寄与する。県は「従来と比べて3割のコストを削減できる」と試算する。また、チップ化運搬車は「今までよりも楽に処分でき、作業効率も向上した」(関電工)と、作業員の評判も上々だ。

 チップは産業廃棄物として処分しているため、処分費削減に向けて有効活用の方法を模索することが必要となる。さらに、官地だけでなく民地への対応、費用負担の在り方などの課題も残っており、引き続き協議が必要だ。

電気新聞2020年1月23日