握手する秋本社長(右)とボー社長
握手する秋本社長(右)とボー社長

 東京電力エナジーパートナー(EP)は10日、デマンドレスポンス(DR)事業者のエナジープールジャパン(東京都港区、市村健社長)に出資した。旧一般電気事業者が国内で事業を展開するDR事業者に出資するケースは初めてとみられる。容量市場や需給調整市場の開設、再生可能エネルギーの大量導入などを見据え、エナジープールジャパンが持つDRの知見や技術を取り込みたい考えだ。

 東電EPが親会社のエナジープールからエナジープールジャパンの株を一部取得した。出資額や出資比率は非公表。東電EPの秋本展秀社長とエナジープールのオリビエ・ボー社長が10日、都内で契約を交わした。

 エナジープールジャパンは、東電EPが電源I’(イチダッシュ)の提供や小売DRを行う際に、委託を受けてマネジメントを行ってきた。東電EPは出資を通じてDRの知見やノウハウを吸収するとともに、現在は実証段階にある「上げDR」の恒常的な実施などにつなげたい考えだ。

 東電EPがこうした動きをする背景には、電力・ガス小売り全面自由化で厳しい競争にさらされているという事情がある。キロワット時(アワー)で稼ぐことが厳しくなっている中、DRによる調整力は将来の有望な稼ぐ手段になり得る。

 東電EPは、蓄電池を活用したDRの取り組みも進めているが、企業の生産活動によるDRは一定の技術が必要になることから、今回の出資を決めたもようだ。

 エナジープールジャパンの市村社長は「欧州は再生可能エネの拡大により、リージョナルなフレキシビリティーをどう担保していくかが大事になっている。これまで石油火力発電や揚水発電に頼ってきた日本もパラダイムシフトを迎えつつある」と指摘している。

電気新聞2019年12月11日