ヒートポンプ・蓄熱センター(小宮山宏理事長)と住環境計画研究所(東京都千代田区、中上英俊会長)は27日、PV(太陽光発電)余剰電力を自家消費する手法として、ヒートポンプ(HP)給湯機の有用性を確認したと発表した。ガス給湯機を設置している戸建て住宅でPVの余剰電力を全量売電するケースと比べ、HP給湯機を導入した上で需要家のエネルギーコストを最小化するよう運転すると、PV自家消費率が15ポイント増の59%となり、年間1次エネルギー消費量を23%削減できることが分かった。

 2019年11月以降、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の買い取り期間が順次終了する。売電単価も従来に比べて安くなるため、PV余剰電力の自家消費を増やす選択肢が重要になってくる。こうした背景を踏まえ、調査を実施した。

 シミュレーションでは、(1)売電(2)HP給湯(最適制御)(3)HP給湯(夜間蓄熱)(4)HP給湯(昼間蓄熱)(5)蓄電池(6キロワット時)(6)蓄電池(10キロワット時)――の6つのケースを比較。最適制御と昼間蓄熱で運用した場合、省エネ・省CO2(二酸化炭素)効果が高いことが分かった。PV自家消費率は、最適制御、昼間蓄熱ともに向上。ただ、昼間蓄熱はPV余剰電力の発生時間に関係なく昼間に蓄熱運転するため最適制御と比べると自家消費率は若干下がる。

 また、全国約5200万世帯のうち、3人以上が住む戸建て住宅約1028万世帯がPVとHP給湯機を導入し、運転方法を夜間蓄熱から最適制御に変更した場合の年間効果を試算した。PV自家消費量は140万~170万世帯の年間PV発電量に相当する66億キロワット時増加するとともに、CO2を46万トン削減し、原油換算で約11.5万キロリットルの省エネにつながることが分かった。

電気新聞2019年11月28日