関西電力が富山県黒部市の黒部川第二発電所で、発電電力量の拡大を目指し進めているリフレッシュ工事で、2号機の改修が大詰めを迎えている。水車ランナーの交換に続き、10日には発電機回転子(ローター)の吊り込み作業が完了した。12月の竣工、運転再開を予定する。リフレッシュ工事は1号機が2017年5月に完了しており、3号機の工事を残すのみ。3基合計で2700キロワットの増出力を図る。
黒部川第二発電所は、1936(昭和11)年の運転開始から80年が経過し、水車ケーシングなどコンクリート埋設部品の老朽化も進んでいた。このため同社は、2014年から水車や発電機の交換に加え、ケーシングの取り換えなど1~3号機全てを対象とした大規模なリフレッシュ工事を開始。出力の増加を目指している。
2号機の改修は、1号機の運転再開後の17年5月に開始。同発電所は黒部峡谷の山中に位置するため、工事資材は全て黒部峡谷鉄道の工事用貨車を利用し運搬した。また冬季は黒部峡谷が雪に閉ざされるため運搬を中断。厳しい作業環境の中で、今年9月20日には水車ランナーの交換が完了した。
さらに今月10日には、最後の節目となる発電機回転子吊り込みを実施。同日、現地で式典が行われ、関西電力や発電機・水車の製造メーカーである東芝エネルギーシステムズ、工事関係者らが出席した。作業員は76トンの回転子を、固定子側に接触させぬよう慎重に吊り下ろし、新しい発電機の完成を祝った。
リフレッシュ工事の完了は、23年5月を予定する。3基合計で出力を2700キロワット増加し、合計7万4700キロワットとなる。年間発電電力量は約2400万キロワット時増加し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減効果が期待される。
電気新聞2019年10月23日
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