認証を取得したGTCC搭載の浮体式LNG発電プラント(右)のイメージ図
認証を取得したGTCC搭載の浮体式LNG発電プラント(右)のイメージ図

 川崎重工業は、開発した浮体式LNG(液化天然ガス)発電プラントの受注獲得に力を入れている。海上や河川から陸地に電力を供給できるプラントで、主に離島など電源確保に課題を抱える地域で採用が見込まれている。同社は製品の信頼性を裏付けるため、17日までにノルウェーの第三者認証機関「DNV GL」から浮体の設計基本認証を取得。今後は発電効率の高さのほか、信頼性もPRして、受注を目指す。

 浮体式LNG発電プラントは、ガスエンジンを搭載した浮体と、ガスタービンコンバインドサイクル発電設備(GTCC)を搭載した浮体の2種を用意した。

 GTCCを搭載した浮体は発電出力が8万キロワット。3万キロワットのガスタービン2基と、2万キロワットの蒸気タービン1基に、容量5500立方メートルのLNGタンク2基とLNG気化装置、受変電設備などで構成する。発電効率の高さも強みで中小型のコンバインドサイクルでは、世界最高水準の54.4%を実現する。

 陸上に設置するGTCCと異なり、浮体上では主要機器の配置場所を集約。浮体を小型化するためで、2階建ての構造物の上段にタービン、下段にボイラーを配置し浮体の面積を縮小している。さらに川崎重工の造船技術も活用し、波があってもGTCCを安定させる「揺れ」の対策も施している。

 一方、ガスエンジンを搭載した浮体は発電出力が3万キロワット。容量3500立方メートルのLNGタンクが2基搭載されている。

 同社は認証の効果でプラントの信頼性が高まるとしており、当面は両タイプのいずれかで計2基の受注を目指している。

 浮体式発電プラントは海上や河川を移動し、設置場所に係留して浮体上で発電する。電力は陸上の送電網と連結して供給する。主に電源確保に課題を抱える地域や、陸上の発電所建設用地が不足するエリアなどでの利用を想定。具体的には、東南アジアや島しょ地域などでの採用を見込んでいる。

電気新聞2019年10月18日