スマートメーター通信を活用すれば漏水の検知も可能に(写真は今年2月、金沢市で行った報道公開の様子)
スマートメーター通信を活用すれば漏水の検知も可能に(写真は今年1月、金沢市で行った報道公開の様子)

 北陸電力は、IoT(モノのインターネット)用通信回線サービスの提供を2020年4月から開始する。自社のスマートメーター(次世代電力量計)用通信システムを活用してサービスを提供する。サービスの種類は、北陸エリアのガス、水道、自治体などを対象とした「通信回線サービス」と、全国の電力会社や通信事業者を対象とした「回線接続サービス」の2種類。各事業者の既設システムのフォーマットに合わせ、収集したデータを変換処理して提供するなど利便性を高めた。スマートメーター用通信システムを本格的に活用したサービスの展開は全国で初めて。

 同社は18年12月からスマートメーター回線を活用したガス、水道の自動検針や集中監視などの実証試験を行ってきた。事業者の既存システムとのデータ連携や無線通信環境を検証。良好な結果が得られたことから、IoT用通信回線サービスとして、20年4月に設立される北陸電力送配電が提供する。

 通信回線サービスの提供先としては、ガスの遠隔検針やガス漏れなどの集中監視を行う事業者、水道事業を行う自治体などを想定する。各種センサーとのデータ通信も可能で、駐車場の空き状況や橋梁・道路の劣化状況の監視など、幅広い事業者がサービスを利用できるようにした。

 北陸電力が独自に開発したインターフェース変換装置「IF変換サーバー」を活用することが特徴。各事業者はシステム改修がほぼ不要で、導入コスト低減が図れるという。各メーターとスマートメーター間を結ぶ専用の無線通信端末も提供するなど、ワンストップサービスを実現し、利便性向上を図った。

 スマートメーター端末は、北陸エリア内の各家庭に幅広く設置されており、ガスや水道のメーターと至近距離で無線通信を行えることから、広範囲・高品質の通信が可能になる。サービス利用料は個別になるが、既に通信大手などが検針・遠隔監視の回線サービスを展開しており、同社は「価格面でも遜色ないレベル」を想定する。

 一方、回線接続サービスの提供先は、通信事業者やスマートメーター用通信システムを保有する他の電力会社を想定。北陸電力のIF変換サーバーを活用することで、データ変換用システムの構築が不要になり、初期投資コストの低減が可能になるという。利用料は、1回線当たり月額3円(税別)に抑えた。

電気新聞2019年9月25日