経済産業省・資源エネルギー庁は、来月にも太陽光パネルなどの廃棄費用を積み立てる新たな制度の大枠を固める。廃棄費用は原則として、外部機関に積み立てることで実効性を担保。一部で例外的に内部積み立ても認める方向だ。金額の水準や積み立て金を取り戻す際のルールなどは大筋でまとまった。法令での措置が必要な部分は、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)抜本見直しの検討の中で具体化させていく方針だ。

 エネ庁は、今年4月に「太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループ」(WG、座長=若尾真治・早稲田大学教授)を立ち上げ、制度の詳細設計に着手。稼働・未稼働を問わず、FIT開始以後に認定された出力10キロワット以上の全ての太陽光発電設備が対象になる。

 新たな制度では、源泉徴収的に外部積み立てを進める。費用負担調整機関が徴収を担う。これまでの会合で、積み立てはキロワット時ベース、月1回の頻度で行うほか、2019年度までの認定案件はこれまでと同様、資本費の5%を積み立ての水準とし、入札案件には別途算定式を導入する方向で大筋まとまった。また、時期については一律に買い取り期間の「後半10年間」を推す意見が大勢を占めた。

 一方、議論を呼んだのは内部積み立てを認める際の条件。資金確保の確実性や事業継続の責任・能力などを前提に、「例外的に」認める方向で一致したものの、委員からは「申請が常態化し、条件が緩くなることにつながらないか」といった懸念の声も上がった。

 今後、内部積み立ての詳細を固め、実務を担う費用負担調整機関のガバナンスや発電事業者が倒産した際の対応なども詰めた上で、11月にも中間整理をまとめる。法令上の対応が必要な事項については検討を続け、FITの抜本見直しを担う小委員会に議論が引き継がれる見通しだ。

 太陽光設備の廃棄費用を巡っては、18年4月に事業計画策定ガイドラインの改訂を受けて積み立てを義務化。事業者は積み立て状況を公表する義務も負うようになった。

 ただ、積み立ての水準や時期の設定は事業者の判断にゆだねられていて、低圧、高圧・特別高圧のいずれも8割以上が対策をとっていないのが現状。稼働済みの事業用太陽光が約50万件に上る中、放置・不法投棄の懸念から、実効的な制度が求められていた。

電気新聞2019年10月11日